ある日、バイト前にゲーセンでガンダムでもしようかと駅から降りた。
改札を抜け階段を降りていると下の方にいる警察二人と目が合った。
ニュータイプ的直感で「来るッ!!」と確信。
案の定こちらによって来る警察官二人。
「ちょっとお話いいですか」と二人。ニコニコしている。
「えっとバイトがあるのですこしなら…」と逃げられない私。
「少しですので~」的なことを言われて荷物チェック。
大学からの帰りなので危険物も18禁的な物も持っていない
強いて言えば筆箱の中にあるはさみくらい。
片方にバッグを探られ、もう片方と世間話。
「今大学生?」
「はい、そうです…」
「何年生?」
「二年になります…」
「どこの大学?」
と当たり障りのない会話。このあとバッグを返還されるが話は続く。
「実はね~、今こういうのをやってるんだけど~」
と警察官募集のパンフレットを渡される。ここでようやく気がついた。なるほど勧誘か。
「警察官って興味あるかな~?」
「え、え~っと…少しは…」
どうせ逃げられはしない、ならば毒を食らわば皿までだぜ!と半ばやけくそ。
「そっかそっか!!じゃあもう少し時間いいかな?」
「はい、大丈夫です」
と、ここからいろいろ説明される。面白いとこ以外の具体的な説明は省いて要約。
〇玉県警は最近人手不足。だから受かりやすい。採用試験は筆記試験より面接、というより人柄重視。採用時に体力がなくても鍛えるから大丈夫。高卒は一年、大卒は半年の警察官学校で訓練した後、まず交番勤務、そこでの勤務は主に宿直→当直→休みのローテーション。
と一通り説明されたあとなんと試験が6月にあると言う。ここからが面白いところ。
「お試しだと思ってさ、ちょっと受けてみない?」
「えっ?私まだ二年ですよ」
冗談じゃない、社会性ゼロシステムの集団行動力たったの5か…ゴミめ、な私にはとてもとても警察なんてできません、辛そうだし。
「大丈夫大丈夫、受けられるから。」
「それってもし受かったら何採用になるんですか?」
「うん?高卒だよ?」
オマエ ダイジョブ チガウ オレ ダメ
第一なんでわざわざ2年で大学やめて警察に、しっかも高卒枠で警察なんぞにならにゃならんのよと。浪人だってしてひとまず十人並み(意味:平凡)の大学入ったのに。
とはいえ逃げられるわけもないので、色の良い返事をするほかなかった。
「えっと…はい…わかりました…」
「ほんと!?うれしいな~」
と本当に嬉しそうにする警察官の人。そのまま交番まで連れていかれ、書類を準備するから待っててと交番の前で待たされる。気分はさながら犯罪者…。
ボケっと待っていると中から若い警官が出てきた。
「ごめんね~まだ大学二年なんだって~?」
「あっはい、そうです。」
「あの人押しが強い人でさ~、でも少しは興味持ってくれた?」
と比較的話の出来そうな人が出てきてくれた。なのでいろいろ聞いてみることにした。
Q.上下関係って厳しいんですか?
A.公務員法(だったかな)で決まってて、厳しいというか上の人からの命令は絶対厳守。
Q.刑事ってどうやってなるんですか?
A.警察官になってからも試験や査定があって、そこでいい成績をとって、なおかつ本人の希望があると刑事課の人からスカウトがくるよ。けど査定はそれこそ犯人確保とかしなきゃいけないから運要素が強いかな。
Q.警察内で暴力とかないんですか?
A.ははは(苦笑い)
Q.普通の採用でも階級上の方って目指せるんですか?
A.不可能じゃないけど十年勤務して一つも上がらないとかザラ、目指すなら試験の勉強とかしっかりしなきゃいけないけど、勤務も大変で勉強時間なんかなかなか用意できないからすごく大変。
聞けば聞くほど大変そう、死んでもならないと固く心に誓ったあたりで書類をもった人が登場、それを貰って礼を言い、私は去っていった。
あとからパンフレットを見直すと初任給が額面23万ちょっとだった。これを高いとみるか低いとみるかは個人の価値観。
とはいえ貴重なお話でした、この場をつかいお礼申し上げます。
ガンダムはあまり勝てませんでした…
おわり